いまのSNSとインフルエンサーって、正直どう思う?【第6回 池田紀行のマーケ飯】
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いまのSNSとインフルエンサーって、正直どう思う?【第6回 池田紀行のマーケ飯】

代表の池田(@ikedanoriyuki)が、さまざまなフィールドの第一線で活躍されている方とご飯を食べながらカジュアルに議論する企画「マーケ飯」。

第6回のゲストは、大手IT企業に勤務する傍ら、モデルやライターとして活躍する竹本萌瑛子さん(@moeko_takemo)。「たけもこ」の愛称で親しまれている竹本さんは、Twitterで7万人、Instagramで2万人以上(2021年4月時点)のフォロワーをもつインフルエンサーでもあります。

今回のテーマは「インフルエンサーの目から見た“ソーシャルメディア”と“インフルエンサー”」。日ごろから仕事でもプライベートでもソーシャルメディアに関わる時間の多い2人の間で、ソーシャルメディアとインフルエンサーに関する興味深い議論が行われました!

マーケター/モデル/ライター 竹本萌瑛子
熊本県出身。現在は大手IT企業にてデジタル広告を扱う部署に所属。
SNSやイベントなど、マーケティングコミュニケーションを軸とした業務に従事する一方で、モデル・タレント・ライターなどパラレルワーカーとしても活動中。総SNSフォロワーは約10万人。趣味は読書とゲームと焼肉とさんぽ。
トライバルメディアハウス 代表取締役社長 池田 紀行
1973年 横浜出身。ビジネスコンサルティングファーム、マーケティングコンサルタント、クチコミマーケティング研究所所長、バイラルマーケティング専業会社代表を経て現職。大手クライアントのソーシャルメディアマーケティングや熱狂ブランド戦略を支援する。日本マーケティング協会マーケティングマスターコース、宣伝会議講師。 『キズナのマーケティング』『ソーシャルインフルエンス』『次世代共創マーケティング』など、著書・共著書多数。

フォロワーから愛される「たけもこ」の原点

池田:本日は、お忙しいなかマーケ飯にご参加いただきありがとうございます!

竹本:いえ、こちらこそお声がけいただきありがとうございます。過去のマーケ飯シリーズを読みましたが、どの回も内容が深く、学びになりました。この企画に参加できることが嬉しいです!

池田:日ごろからTwitterを拝見しているのですが、それを見て芯の通った方だと感じていて、ぜひお話ししてみたいと思っていたんです。竹本(以下、たけもこ)さんは、普段どんなお仕事をされているんですか?

竹本:本業はIT企業の広告事業で、イベントを通して広告主や広告代理店に情報を伝えるマーケティングコミュニケーションの仕事をしています。副業では、企業からお声がけいただいて個人で企業のPR活動をお手伝いしたり、ライターとして記事を書いたり、モデル業なんかもしていますね。

池田:インフルエンサーとしての活動は知っていましたが、ライターやモデルもされているんですね。幅広く活動をされていると、コンテンツの発信が増えるので自然とTwitterのフォロワーが伸びると思いますが、7万人までフォロワーが伸びたキッカケは何かあったんですか?

竹本:田端信太郎さんの『ブランド人になれ!』に影響を受け、フォロワーを増やそうと思いまして。じゃあフォロワーを増やすにはどうしたらいいんだろう、と考えていた時にTikTokで「(自身の)ビフォーアフター」という投稿が話題になっているのを目にしたんです。こういう話題のコンテンツを活用すればフォロワーを増やせそうだと思って、実際に私のビフォーアフターをTwitterで投稿したら多くの人に拡散してもらうことができました。この投稿がキッカケでフォロワーがグッと伸びましたね。

池田:この投稿は2万リツイート、いいねは16万を超えてます。すごいですね!  Twitterは、この投稿以前にどんな使い方をしていたんでしょう?

竹本:高校2年生の頃に使いはじめたんですが、当時はアカウントを非公開設定にしていて、親しい友人とのコミュニケーションに使っているだけでした。大学に入ってから友人に勧められてミスコンに出場することになって……そのときに、ミスコン用の新しいアカウントを開設し、公開して使っていました。その時期が、一番Twitterを使い込んでいたと思います。

池田:そのころのフォロワーは何人くらいでした?

竹本:7,000人くらいでしょうか。

池田:いまは7万フォロワーだから、当時と比べると10倍ですね! インフルエンサーと呼ばれる人たちは、オーバーなリアクションやバズを狙った投稿をしがちですが、たけもこさんはそういったバズを狙わない等身大な発信が中心で、フォロワーとも親密にコミュニケーションをとっていますよね。これは、一番使い込んでいたというミスコンの時期から心がけていることだったりするんでしょうか?

竹本:ミスコンに出場した時は、過去のミスコン出場者たちの投稿を見て、言葉のつかい方やそれに対するフォロワーの反応を見ながら、「良い投稿」「悪い投稿」の比較や他の人との違いを出すにはどうすればいいのか? といった分析をしていました。他のミスコン出場者と比べたとき、いかに自分の色を出し、認知してもらえるかをずっと考えていたんですよね。

池田:なるほど、他の出場者の投稿を分析して、自分の発信に活用していたと。マーケターに求められる能力は事例を抽象化して自身の戦略に活用することだと僕は考えているんですが、当時からそういったことを意識できていたんですね。

竹本:かっこよく言うとそうなのかもしれません(笑)。もともと入念にリスクヘッジするタイプなので、分析はしっかりやっていましたね。

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池田:しっかりリスクヘッジしたくなる気持ち、よくわかります。僕も会社を経営する上で可能な限りいろんなリスクのシミュレーションをしながら、何が最適解なのか常に考えています。何度もシミュレーションしているからこそ、選択肢を提示されたときにリターンとリスクがすぐ判別でき、意思決定も早くなりますね。

竹本:そうですね、私も仕事をする上で事前のシミュレーションはしっかりしておくタイプです。

インフルエンサーがインフルエンサーたる理由

池田:たけもこさんには、TwitterもInstagramも多くのフォロワーがいますが、プラットフォームごとに発信内容を変えるなど何か意識していることはありますか?

竹本:あるセミナーで聞いた「Instagramは私を見て、Twitterはこれを見て」というプラットフォームの表現に納得して、いまでもそれを意識しています。Instagramでは「誰が何を」という“Who”を、Twitterでは「何がどんな」という“What”を意識して投稿したほうがいいことを指した表現です。Twitterは誰が発信しているかはそれほど重要ではないので、どんなコンテンツを発信するか丁寧に考えてテキストを作っています。逆にInstagramは、よそ行きっぽいねとよく言われます(笑)。

池田:たしかに“What”を意識することは大切ですよね。有名人やブランドでもない限り、基本的に“Who”に対してではなく、投稿された“What”に対して反応されることがほとんどですから。

フォロワーが増えると、ソーシャルメディアのダイレクトメッセージに多くのPR案件の依頼が届くと思いますが、たけもこさんはどうです?

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竹本:PR案件は、断ることの方が多いかもしれないです。とくにInstagramは断ることが多いですね。自分のフォロワーの属性に合わない(興味を持ってもらえそうにない)依頼もあるので、フォロワーが興味のないコンテンツを投稿してしまうことで自分への信頼が傷つかないようにしたいんです。

例えば、私が商品を一度も試さずにPRしたとして「あの人が紹介してたから!」とフォロワーが買ってくれたのに、品質が悪いなど何かしらの不利益を被ってしまったら、私が嘘をついているのと同じですよね。私は商品を紹介する立場として、クライアント・私・フォロワーが幸せになれることが正しいインフルエンサーマーケティングのあり方だと思っているので、そうした条件をクリアした案件のみお受けしています。

池田:誰かが不幸になるようなインフルエンサーマーケティングには加担しない、という強い意思があるんですね。近江商人(※)の「三方よし」に通じるところもありそうです。

たけもこさんのような意識をもったインフルエンサーがもっと増えていくといいですよね。お小遣い稼ぎとしてPR案件を安請け合いして、自身の信頼を毀損してしまうリスクを甘く見ているインフルエンサーは少なくない印象にあります。フォロワー数が多ければインフルエンサーだと自称することは簡単にできますが、フォロワーとの信頼関係まで考えてこそ、正しいインフルエンサーの姿とも言えるのではないでしょうか。

※「売り手によし、買い手によし、世間によし」を示す「三方よし」の経営哲学を大事にした、近江国(現在の滋賀県)の商人の総称。

竹本:そうですね。ただ、実は私あまりインフルエンサーを自称したくはないんですよね……(笑)。

そもそもインフルエンサーの由来って「インフルエンス=影響」じゃないですか。だから、影響というのは与えられた側(フォロワー)が、「影響を受けた」と感じない限り、影響があった・影響を与えたとは言えないと思うんです。そう考えると、フォロワー数の多さだけで「インフルエンサー」と自称するのは違和感があります。

池田:確かに、たとえフォロワー数が多くても、投稿に対するエンゲージメントが伴っていない、フォロワーのアカウントが全然使われていないといったことも十分あり得ますからね。

竹本:おっしゃる通りです。インフルエンサーが本当に大事にしなければいけないことは、フォロワー数ではなくて、関係する人全員が幸せになるような「良い影響」を考えつつ、自身の言葉でフォロワーにちゃんとメッセージを届け、行動を促せるかどうかになるのではないでしょうか。

ソーシャルメディアでの炎上に対して感じること

池田:話は変わりますが、最近ソーシャルメディアではSDGsとか多様性、ジェンダーといった観点で議論が巻き起こることが多いですよね。良い意味でも悪い意味でも。たけもこさんは、そのようなソーシャルメディア上の動きを、どのように捉えていますか? 

竹本:最近炎上してしまった企業CMもそうですけど、発信内容に対して「社内で誰も指摘しなかったのか?」と世間から問われることがあります。でも、企業側も悪意があって発信したわけじゃないと思うんですよ。炎上したら、誰も幸せにはなれないですし。

ただ、発信内容の何が問題になるのかというリスクを探し出す“視点”が欠落していたことが原因なら、炎上場所であるソーシャルメディアのリスクヘッジ担当を置くことである程度のリスクは避けられるのではないかなと思います。

池田:なるほど。世間の人がソーシャルメディアを通じてどんな反応をするのか判断できる専門家が必要だということですね。こんな発信をするとこの属性の人の発信や批判が増える、という確率を出せる人みたいな。

竹本:そうですね。広告代理店などは普段から炎上のリスクに対して敏感ですが、まだまだ企業(ブランド)側はそういう意識が低いように感じます。

ある企業の、生理に関するメッセージの炎上を見た時も、ぱっと見で企業側が伝えたいメッセージは分かりました。ただ、Twitterなどで言及されている内容を読めば、受け手の感情まで構成できていないことが分かりますよね。

池田:ソーシャルメディアでの炎上は、過剰な反応をするほんの一部の人の主張を、残りの人たちが安易に拡散してしまうことで、どんどん尾ひれがついて大きくなっていくという特徴があります。言い方は悪いですが、なかには自身の影響力を獲得するためにその構造を利用して極端な意見を発信する人もいます。

モノを売るための炎上マーケティングはほぼ無いに等しい(話題化による認知拡大や短期的な売上獲得よりも、ブランド価値を毀損させるデメリットの方が遥かに大きいと考えられるため)ですが、自身の影響力を高めるための炎上マーケティングはまかり通っている。どうせ何日かしたら忘れられるんだから、とりあえず炎上させてフォロワー獲得できればそれでいい、みたいな。そうしたソーシャルメディアの使い方はよくないですよね。

竹本:そういう点で言うと、先ほどの話にもあったようにフォロワー数だけがその人の影響力として捉えられてしまう現状にも原因があるかもしれません。その人が発信する内容が面白いのかどうか、本当に共感できるのかどうか、その情報は正しいのかどうか、もっとソーシャルメディアのユーザー自身が吟味すべきなのではないでしょうか。発信する側も受け取る側も、もっと発信内容に対する美意識とか、審美眼みたいなものを養い、大切にしていくべきだと思います。

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自分のためじゃなくて他人のために。2人がこの先めざすもの

池田:たけもこさんは、本業以外にもライターやモデルといったさまざまなキャリアを同時に歩んでいるとおっしゃっていましたが、将来はどうなりたいと考えていますか?

竹本:まだ具体的にはイメージできていないですね……。池田さんは何を目指していきたいんでしょうか?

池田:僕はマーケティングの力を信じているので、マーケティングを通じて世の中が少しでも良くなるよう、多くの人々の意識や行動を変化させていきたいんです。

いまの世の中は、モノが溢れすぎて、商品の品質がほとんど変わらないですよね。例えばA社のシャンプーとB社のシャンプー、どちらを買っても、仕上がりがほとんど変わらないとします。それでも生活者が「(心がちょっと幸福になるから)私はこのA社のシャンプーが買いたいんです!」と商品を選んでくれる状態を作るのが、マーケティングの力。それができるなら、生活者に“持続可能な社会に貢献する選択”を意識的にさせることも、マーケティングの力で実現できると思っています。50円高いけど、環境に良い消費をだれもが選択できる状態をつくる、みたいな。

そうやって、多くの人が良い選択をできるよう影響を与える仕事がしたいんですよね。それがいずれ地球の持続可能性を高め、国民総幸福量を増加させることにもつながるんじゃないかと考えています。

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竹本:そうなんですね! その話を聞いてちょうど思ったことがあります。これまで私は、他人のために何かをすると言っている人に対して「結局は自分にメリットがあるからでしょ」と感じてしまい、純粋に賛同できていなかったんです。

ただ、最近受けた、とある案件(副業)で「自分のため」の要素が強い仕事があって、ふと虚無感を覚えたんですよね。よく考えたら、自分が生きる上での満足感って家でゆっくり本を読んだり、好きな人と会ったりすることでだいぶ満たされているのに、「自分のため」の仕事ってこれ以上先があるのかなと不安になったんです。

でも、他人のための仕事は限界がない。以前、ライターの仕事を受けた時に、記事を読んでくださった方から「あなたのおかげで救われました」という言葉をいただいて、とても嬉しかった記憶があります。「誰かのため」の仕事は、自分に利益があるだけでなく、そういった温かい感情や誰かを救えたという嬉しさが伴って、自分に返ってくる。それを糧にもっと頑張れると思ったんです。

そうしたら、他人のために何かをするということが、とても素敵なことだと思えるようになりました。いま、特にライティングの仕事が楽しいと感じているので、自分の書いたコンテンツが人のためになれば嬉しいです!

池田:SNSが生まれる以前は、コンテンツを作ることができてもメディアがないとリーチできませんでしたし、メディアによって読者もさまざまでした。「メディア」として発信するので、誰がコンテンツを作っているかもあまり関係がなかった。でも、(こう呼ばれるのはイヤかもしれませんが)インフルエンサーは要素分解するとエディターでありライターでありメディアになれる。たけもこさんもそんな存在ですよね。一人が複数の役割をこなすことができるのは、SNSが生んだ革命とも言えるんじゃないでしょうか。

だとすると、自分が書いたコンテンツを発信していくとき、影響力のカバレッジも重要になってきますね。「コンテンツの質 × メディアでリーチできる範囲=影響力の大きさ」のように想定できるはずです。たけもこさんは、(自身のソーシャルメディアアカウントを)メディアとして、コンテンツの質を高めつつ、リーチできる人たちも増やしていきたいと考えてますか?

竹本:そうですね、良いコンテンツを自分で作り、自分を見てくれている人たちからさらに他の人へ広がってほしいとは思います。SNSが生まれる前と後では、コンテンツが届く「相手」も違います。私に興味を持っている人がフォローしてくれているので、私というフィルターを通して生まれたコンテンツが、フォロワーさんの意識や行動を変えたり、誰かを救ったりしたら、とっても嬉しいです。まずは私自身のフィルターをもっと育てていきます!

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池田:すばらしいですね! これからの活躍にも期待しています!

竹本:今日は本当に楽しい会を主催いただきありがとうございました。(共通の友人である)5歳さん(@meer_kato)から、「池田さんはチャーミングな人だよ」と伺ってて、本当にそうだなと思いました(笑)。

池田:そんなこと言ってたの(笑)。今度はぜひ3人で飲みましょう!

竹本:ぜひよろしくお願いいたします!

・・・

インフルエンサーの目から見た“ソーシャルメディア”と“インフルエンサー”」というテーマで展開された今回の議論。インフルエンサーがPR案件を受ける際にどんなことを考えているのか。また多くのフォロワーがいる立場として、自身のフォロワーにどんな影響を与えたいのかということを知ることができた議論だったのではないでしょうか。マーケターとしてインフルエンサーマーケティングを企画する際は、そうしたさまざまな想いにも考えを巡らせていきたいですね。

「マーケ飯」では、今後もさまざまなフィールドの第一線で活躍されている方と池田のトークを発信していきますので、どうぞご期待ください!

過去の「マーケ飯」記事は、以下のマガジンよりご覧いただけます。

▼2人のアカウントはこちら
竹本 萌瑛子 氏
Twitter @moeko_takemo
Instagram moeko_takemoto
note https://note.com/moexy

池田 紀行
Twitter @ikedanoriyuki
note https://note.com/ikedanoriyuki

今回収録で伺ったお店は、渋谷にある創作和食のお店「食幹」さん。丁寧に盛りつけられた料理が非常に美味しく、隠れ家のような素敵な内装も料理の味をさらに引き立てていました! 撮影にご協力いただき、ありがとうございました(写真はコース料理、前菜盛り合わせです)。

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食幹 渋谷
東京都 渋谷区 渋谷 3-5-5 HAKKAビル B1F
https://tabelog.com/tokyo/A1303/A130301/13040639/

※新型ウイルス感染症防止対策に配慮のうえ収録を行っています。

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トライバルメディアハウスは「ソーシャルエコノミーでワクワクした未来を創る。」をミッションに掲げるマーケティング会社です。マーケターやクリエイターが抱えるマーケティング課題を解決する場として、noteを公開しています。