夫婦関係の改善にも? ロボット掃除機「ルンバ」の消費トレンドを読み解く

皆さんこんにちは。
ソーシャル文化研究所(以下、ソー文研)の佐野です。

いよいよスタートするソー文研のnoteですが、世の中は新型コロナウィルス感染拡大の影響で外出自粛状態。トライバルも3月下旬から自宅でのリモートワークが続いています。

初のnoteとなる今回は、一日のほとんどを自宅で過ごすなかでのある発見についてです。

リモートワーク中の発見

我が家では、毎日午前11時になるとロボット掃除機「ルンバ」が動いて、家中のゴミや塵を吸い取ります。所要時間は30分程度。専用アプリで自宅の間取りを把握しているため、とてもスムーズです。掃除を終えると自分の拠点に戻り、そのまま次の出番(翌日の午前11時)を待ちます。

普段は出社している時間帯なのでルンバが動いている様子を見てることがほとんどなかったのですが、この2カ月間はその実直な働きっぷりを毎日見ています。

連日同じ時間にその働きを見ることでルンバの素晴らしさを再認識して、不思議な愛着を感じるようになりました。表情はないし(そもそも顔もないけど)ちょっとやかましいのに……リモートワークをするなかでの新しい発見でした。

ということで、ロボット掃除機「ルンバ」のクチコミから消費トレンドを研究していこうと思います!

ルンバのクチコミ件数

まずは、トライバルのソーシャルリスニングツール「ブームリサーチ」で、ロボット掃除機「ルンバ」と、他社のロボット掃除機のクチコミ件数を比較してみましょう。

ルンバと他社製品A・Bとの国内X(旧Twitter)クチコミ件数比較(分析期間:2019年4月〜2020年3月)

ルンバの日本市場への参入が2004年です。
すでに発売開始から16年が経過している製品であるにも関わらず、いまも他社のロボット掃除機に比べて多くクチコミされているという事実が市場への定着を示しています。

ここからは、ルンバのクチコミを製品・サービスの消費規模を量る「消費トレンド投稿」と、市場への定着の鍵となるクチコミを示す「ソーシャル文化投稿」に分けてみましょう(※1)。

※1 「消費トレンド投稿」はモノやサービスの購入意向や気持ち、購入後の使用感に関するクチコミ指し、「ソーシャル文化投稿」はこれまでにない視点や価値観、行動などが可視化されたクチコミを指します(詳しくは、前回の記事をご覧ください)。

消費トレンド投稿には「ルンバが欲しい」「購入検討している」といった購入意向や「買いました!」「夫が買ってくれた!」などの購入報告、「使ってみた」「便利!」「ルンバ賢い!」などの使用報告が含まれます。

こういったクチコミが別のユーザーにポジティブな影響を与えていることも分かり、ルンバのマーケティングに大きく貢献しているといえます。
※クチコミとの売上貢献の相関については、こちらでも詳しくご紹介しています。

ルンバのクチコミからうまれた新しい価値観

ルンバのクチコミの素晴らしいところは「欲しい」「買った」「使った」などの消費トレンド投稿だけではなく、ユーザー独自の視点・体験によってうまれたソーシャル文化投稿も数多くあることです。

ソーシャル文化投稿については、4つに分けてご紹介します。

・夫婦改善系
・ペット化
・ルンバ基地
・断捨離思考

まずは夫婦関係改善系のクチコミ。
「掃除が楽になった」だけではなく「夫婦喧嘩が減った」「ゆとりができた」など、夫婦関係に良い影響を及ぼしていることがわかる投稿が散見されました。

近年共働きの夫婦が増え、夫婦の役割や家事の分担などの考え方が著しく変化してきました。ルンバは、掃除という家事のひとつを自動化する“負荷の軽減”を提供価値とした製品で、私たちの暮らしを豊かにしてくれています。

このクチコミからは家事の負担が減ったという内容だけでなく、気持ちが軽くなったり、ルンバのおかげで時間ができて夫婦の会話や趣味に使える時間が増えたりすることで、夫婦関係や家庭の雰囲気にまで影響したことが分かります。

次にペット化のクチコミです。
「ルンバかわいい」「私のルンバちゃん」「服を着せたい」など、ユーザーがルンバをまるで犬や猫と同じように愛でるような投稿が目立ちます。

私も冒頭で“愛着を感じた”と述べましたが、ロボット製品は愛用して恩恵を受けつづけると、まるでペットのようにかわいい存在に思えてきます。私の家族も、ルンバを日々の感謝と愛着の気持ちを込めて“ルンバさん”と呼んでいます。生活家電を名前で呼ぶのって、めずらしいことではないでしょうか?

3つ目のクチコミはルンバ基地です。こちらは、Instagramでよく見かけた投稿です。

ルンバへの愛と画像による“映え”を追求した投稿で、洗練された住まいを見てほしい気持ちが加味された内容といえるでしょう。

なかには「ルンバのためにそこまでやるのか!」とも思える投稿(画像)もあり、一時期は不動産業界でルンバに合った住まいを提案する「ルンバブル」な不動産物件も話題になりました(ルンバブルは直近1年で約1,100件のクチコミ件数でした。いまはまだ定着とは言い難いですが)。

最後は、断捨離志向のクチコミです。

ルンバがいかに優れた製品であっても、障害物があれば避けるしかなく、掃除の妨げになったり、そのエリアは掃除できなかったりします。
ユーザーはルンバの働きの質を高めるために「ルンバを通り道を確保する」こと、つまり家にある物(ルンバにとっての障害物)を減らし、スムーズに動き回れるような環境に変えているのです。

ミニマリストという言葉をここ数年よく耳にしますが、その流れがルンバをフル活用したい(もっと活躍させたい)という気持ちと一致して、断捨離するクチコミが増えたと考えられます。

ご紹介した4つのクチコミも、はじめは誰かが発信した一投稿に過ぎなかったはずです。それがたくさんの人に共感され、拡散し、瞬く間にルンバの派生トレンドとして定着していきました。売れ続けている製品は、いろんな形で語られ続けるのです。

ルンバの市場定着とトレンド形成

今回のクチコミ分析の結果、以下のことが分かりました。

・ルンバのように特徴のある製品はクチコミされやすい
・愛着を持たれる製品は名前で呼ばれたり夫婦関係に影響したりする
・新しい意思や行動により派生トレンドを生み続けている

さまざまなクチコミにより、いくつものトレンドを生み出したルンバ。なかでも夫婦関係改善系のクチコミは時代にマッチした文脈的価値となり、多くの人を動かし、実売にも好影響を与えているのではないでしょうか。

ちなみにここ数年、離婚率が低下傾向にあるそうです。もしかしたらルンバも貢献しているかもしれませんね。
我が家もそこそこ夫婦円満です。ありがとうルンバ!

・・・

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佐野 高久(さの たかひさ)
ソー文研 所長。広告会社やPR会社でコミュニケーションプランナーとして従事した後、2019年12月にトライバルへ入社。現在プランナーチームのサブリーダーとしてSNSを基軸としたプロモーションやファンイベント、PRなどの戦略策定や施策のプランニングを担当。
@tkhs0510

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