X(旧Twitter)キャンペーンを成功に導く3つのやり方【企業事例】

作成日:2021年7月13日

突然ですが、企業やブランドがXでキャンペーンを実施する場合、何を目的にすることが多いでしょうか?

「フォロワー数を増やしたい」や「バズりたい」、最近であれば「UGCを増やしたい(※1)」などを目的にすることもあるのではないでしょうか。トライバルがご支援する企業やブランドの方からも、これらを目的にしたときに、事業の最終的な目標である売上にどのように貢献しているのか分からないとご相談いただくことがあります。

本記事では、XキャンペーンにおけるKPIを整理し、KPI達成(成功)に導くための3つの考え方と好事例をご紹介します。

※1 User Generated Contentの略で、ユーザーが生成したコンテンツのこと。SNSやクチコミサイトへの投稿などが含まれる。

Xキャンペーンの主要なKPIとは

まずはXキャンペーンでどんな目標を追うべきか、KPIから考えてみましょう。

Xは他のソーシャルメディアと比較してリアルタイム性が高く、リツイート(以下、RT)機能による拡散性も高いことから、インプレッションを獲得しやすい特性を持っています。

その特性を活かし、キャンペーンによってブランドや商品の認知を広く獲得できることから、Xキャンペーンの主なKPIの1つは「インプレッションの獲得」が挙げられます。

また、近ごろはUGCに注目が集まっています。その理由は、UGCの増加と商品やサービスの売上増加には因果関係があることが分かっているためです。

書籍「消費者行動の実証研究(※2)」の第8章「SNSが販売実績に及ぼす効果の測定とソーシャル・リスニングの意義」では、ソーシャルメディアにおけるクチコミ(UGC)が商品の販売実績に影響を及ぼしているという調査結果が記されています。

※2 守口 剛(編集)、上田 雅夫(編集)、奥瀬 喜之(編集)、鶴見 裕之(編集)/消費者行動の実証研究/中央経済社出版/2018年12月27日

Xの公式ブログ記事「The impact of conversation」では、25のブランドを対象に調査した結果、ブランドの会話量(≒UGC)が10%増加することで、売上が3%増える可能性があると言及されています。

このようにUGCが増えるとブランドや商品の売上につながることが明らかになっているため、Xキャンペーンの主なKPIの2つ目は「UGCを増やすこと」と言えるでしょう。

Xキャンペーンで「インプレッション獲得」と「UGC増加」は両方追えるのか?

Xキャンペーンの主要KPIである「インプレッション獲得」と「UGC増加」は、両方追うことが難しいKPIでもあります。

インプレッションは、キャンペーンの参加条件にRTを入れて参加ハードルを下げれば獲得しやすい一方で、UGCを増やすには参加時にツイートしてもらう必要があり、どうしてもキャンペーンへの参加ハードルが高くなってしまいます。

そのため、まずはこの2つのKPIを「どちらかに注力する」か「両方追う」かをあらかじめ決めておきましょう。どちらかに注力した方が良い結果(≒売上)につながる場合もあります。

たとえば、お菓子や缶・ペットボトルの飲料など簡単に手に取りやすい低関与商材は、トライアル購入・利用のハードルが低いため、インプレッション獲得に注力して認知を高めたほうが売上へのインパクトが強い可能性があります。

すでに知名度があるものの、検討期間が長く比較されやすい商材であれば、購入の後押しになるような(購入意向を高めるような)UGCを増やすキャンペーンの方が売上を期待できます。

どちらのKPIに注力するべきかは、ブランドや商品の特性、その時々のマーケティング課題によって異なります。過去に実施したXキャンペーンの数値や予算を参考にしながら、適切なKPIを設計することが大切です。

Xキャンペーンを成功に導く3つの考え方

ここからは、「インプレッション獲得」と「UGC増加」、2つのKPIを一度のキャンペーンで追うための考え方をご紹介します。

① 必要なインプレッションを獲得するための広告予算を確保する

インプレッション獲得のために、RTを増やすことは重要です。
ですが、RT数のみでインプレッションを追うのではなく、あらかじめシミュレーションをして(キャンペーン全体予算から)必要な広告予算を確保しておくことも大切です。100万インプレッションであれば、広告を約10~20万円運用することで獲得することができます。

② UGCを増やしやすい型を活用する

「インプレッション獲得」と「UGC増加」、2つのKPIを追う場合は「フォロー&引用ツイートキャンペーン」という型が適しています。

「フォロー&引用ツイートキャンペーン」は、キャンペーンの参加条件をフォローと引用RTにする型です。RTによってインプレッションを期待できるだけでなく、引用RTされたツイートがUGCにもなります。

ユーザー自身にツイート文を作成してもらう必要があり、フォロー&RTキャンペーンより参加のハードルが高くなるため、気軽に参加できるような企画を意識しましょう。

③「ユーザーがツイートしたくなる」を基準に企画する

②の型を用いた上で、ユーザーがツイートしたくなる(UGCが増えやすい)企画をどのように考えるべきなのでしょうか。

トライバルで数多くのXキャンペーンをプランニングするチーフプランナーの久保に聞いた「良い企画の条件」とは……

キャンペーンのツイートを見たときに、瞬時にコメント(リアクション)が3つ思いつくかどうか

です。Xのタイムラインでは非常に多くのツイートが流れるため、1つのツイートを見てもらえる時間はごくわずかです。

その一瞬に手を止めてもらい、感想などをツイートしてもらうには、思わず反応したくなる内容になっているかどうか? コメントが1つではなく複数思い浮かぶか? を考えて設計されていることが大変重要です。

企画者自身が瞬時に、かつ3つのリアクション(コメント)が思いつかないようであれば、タイムラインを高速で流し見している生活者はもっと思いつきません。皆さんも「この記事、面白いからシェアしたいけれど、コメントが思いつかない……」と思って、スルーしたことはありませんか?

キャンペーンを実施する際は、必ず「瞬時に3つのコメントが思いつくか」という視点で企画してみてください。

Xキャンペーンを実施し、とにかくUGCが増えればいいのか

KPIの1つとしてご紹介したUGCですが、UGCは生活者自身の気持ちや考えが表現されるものであるため、その内容は企業やブランドがコントロールできるものではありません。UGC増加を狙ったキャンペーンを行う際は、以下のような状況にならないように注意しましょう。

ネガティブなUGCが増えてしまう

普段からネガティブな言及が多い企業・ブランドや、良い点より悪い点、特にアクシデントなどが言及されやすいサービス(電気やガスといったインフラなど)によるキャンペーンなどが該当します。

使用した感想をツイートしてもらうようなキャンペーンを実施すると、ネガティブなUGCが増えてしまうリスクがあるため、日ごろからどのようなUGCがあるのかを注意して見ておくことをおすすめします。

質の低いUGCばかりが増えてしまう

企画内容によっては、ブランドや商品とは関係のない盛り上がりになってしまい、ギャグやネタのようなUGC(質の低いUGC)ばかりツイートされて、大喜利状態になってしまうことがあります。

質の高いUGCとは、「UGCに触れたXユーザーの欲求(欲しい・買いたい・使いたい・行きたい・食べたいなど)を揺さぶることができる」ものです。瞬時に思い浮かぶ3つのコメントにこれらが含まれるかどうかも重要です。

UGCを増やすことを目的にする場合は、上記を理解したうえで企画を考えましょう。広告代理店からUGC増加を目的にしたキャンペーン企画を提案された場合は、コメントが3つ思いつくか・上記の状況にならずに目的を達成できそうかを確認してみてください。

あらかじめXなどでソーシャルリスニングを行い、キャンペーンを実施する企業やブランドにどういったUGCがツイートされているのかを調査することで、意識・行動変容につながるUGCを増やす確率を高めることができます。

質の高いUGCを増やすための企画で、売上につながるキャンペーンを実現しましょう。

Xキャンペーンの好事例

最後に、Xキャンペーンの好事例をご紹介します。

※ ご紹介する事例ではカンバセーションボタンを使っていますが、カンバセーションボタンは2022年4月以降利用できません。4月以降は引用ツイートの利用が推奨されていますので、キャンペーンを企画・実施する際はご注意ください。

(1)Nespresso Japan ネスプレッソ

「#至福のおうち時間」をツイートをしてもらうキャンペーンを、カンバセーションボタンを利用して実施。

コーヒーが合うシーンをあらかじめカンバセーションボタンの選択肢に用意し、商品とUGCの相性が良い(コーヒーと読書・スイーツの相性が良い)ことやツイートのしやすさが特徴です。

(2)Anyca(エニカ)カーシェアアプリ

カーシェアリングサービス「Anyca」が実施した「#乗りたいクルマを教えて」キャンペーン。

車好きなら誰もが考える、いつか乗ってみたい車を聞くことで、カーシェアリングサービスの特徴(実際にその車に乗ることができるというベネフィット)を訴求することに成功しています。

(3)ドスパラ【公式】

パソコン専門店のドスパラが行ったフォロー&RTキャンペーン。フォローとRTだけでなく、ハッシュタグをつけてツイートすることで(カンバセーションボタンからもツイート可能)、商品の当選確率が上がるという設計で実施されました。

また、ツイートをしたらすぐに結果がわかる仕組み(インスタントウィン)を採用することで、ハッシュタグを見た人が気軽に参加できるのも特徴の1つ。RTによってインプレッションを獲得するだけでなく、(当選確率を上げたい人による)UGC増加にも寄与している事例です。

(4)ファミリーマート

人気商品「クリスピーチキン」の無料引換クーポンが当たる、カンバセーションボタンを使用したフォロー&ツイートキャンペーン。

キャンペーン開始から24時間以上「#カリッとコク旨クリスピーチキンチーズ 」がトレンドに入り、UGCとインプレッションが大きく増加しただけでなく、シズル感が伝わるクリエイティブと思わず気になる(食べてみたくなる)コピーがハッシュタグとして使われている秀逸な事例です。

(3)と同様にインスタントウィンを採用することで、ハッシュタグを見た人が気軽に参加する→UGCが増えるという好循環を生んでいることも特徴的です。

Xキャンペーンで意識するべきこと【まとめ】

本記事では、XキャンペーンにおけるKPIを整理し、KPI達成(成功)に導くための3つの考え方と好事例をご紹介しました。

まずは「インプレッション獲得」と「UGC増加」の主要KPIに、どのように向き合うか決まっているか(どちらかに注力するか、両方追うか)を検討しましょう。両方のKPIを追う場合には以下のポイントを参考にして、キャンペーンを企画・設計してみてください。

  • 必要なインプレッションを獲得するための広告予算を確保しているか
  • UGCを増やしやすい型を活用できているか
  • 瞬時に3つのコメント(リアクション)が思い浮かぶ企画になっているか
  • ユーザーの欲求を揺さぶるような質の高いUGCがツイートされる企画になっているか

トライバルは、Xキャンペーンの企画や実行、効果測定だけでなく、アカウントの戦略策定や運用などもご支援しています。お力になれることがございましたら、ぜひ以下よりお問い合わせください。

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