【SDGsマーケティングの基本】広告事例や注意点をまとめました!

作成日:2021年5月27日

商品、広告、経営……いまや何を見ても飛び込んでくる「SDGs」というキーワード。世の中は盛り上がっているようだけど、

「(宣伝・広報・マーケティングに携わる)私たちは、何ができるんだろう?」
「SDGsを意識したプロモーションを実施したいけれど、炎上しそうでちょっと怖いな……」

そう考えている人も少なくないはず。

今回は、そんな皆さんに向けて、SDGsマーケティングに関する基本をまとめた記事を用意しました。この記事を読んで、SDGsマーケティングの理解が深まり「私にもできることがあるかも!」と思ってもらえたら、社会がちょっとだけ幸せになるかもしれません。ぜひ参考にしてみてください。

SDGsマーケティングが重要とされる背景

いろいろな記事やニュースで取り上げられているので知っている人も多いかもしれませんが、まずは「SDGs」という言葉が何を指しているのか知ることから始めましょう。

【読み方】エス・ディー・ジーズ
【何の略称か】Sustainable Development Goals
【日本語訳】持続可能な開発目標
【どんな目標?】2015年に国連が策定した、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標
【目標はいくつある?】経済や社会、地球環境、人権など多岐にわたる17の目標が設定されています

参考:外務省「SDGsとは?」(2021年5月20日確認)

この17の目標は、一言で表すと世界中の課題を解決するための“よい行動”です。でも、2015年に決まったものがなぜいまになって注目されているのでしょうか?

理由はいくつかありますが、経営(上流)から市場とのコミュニケーション(下流)に至るすべての企業活動に影響することが、理解され始めたことが大きいといわれています。

たとえば、近年では経済性・社会性・環境性という 3 つの視点で経営を行うことが企業の持続可能性に不可欠であるという考えから、ESG(環境:Environment、社会:Social、企業統治:Governance)に配慮している企業を重視・選別する投資手法「ESG投資」が世界的に拡がっています。つまり、企業は機関投資家から投資対象として選ばれるためにESGと深く結びついているSDGsを意識せざるを得ない状況になっているということ。

また、生活者の意識にも変化が表れています。電通が実施したSDGsに関する調査結果(※1)によると、10代のSDGs認知率は7割を超え、全性年代のうち32.4%が「コロナ禍を経てSDGsへの関心が高まった」と回答していることが分かっています。SDGs商品・サービスの利用意向も高いといい、関心が高まっていることは明らかです。

※1 電通による第4回「SDGsに関する生活者調査(2021年4月26日)」

今後、企業のSDGsへの取り組みの有無が商品の購入に影響を及ぼすようになったら……? 事業に大きなダメージを受けることは容易に想像できるのではないでしょうか。

以上のような理由を踏まえ、私たちは皆さんにとって無理のない範囲で、でも前向きにSDGsに取り組んでもらいたいと考えています。いまはまだ腰が重いかもしれませんが、ビジネスチャンスや将来性が秘められていることも忘れないでほしいのです。

SDGsマーケティング、企業は何から始めるべき?

もし企業として本格的にSDGsへ取り組むことが決まっても、「17の目標のためにがむしゃらに頑張ります!」と意気込む必要はありません。

企業活動においては、以下の各フェーズでSDGsに応えようとする動きが発生します。まずは、皆さんの企業がどのフェーズにおいて取り組もうとしているのか正確に把握することから始めましょう。

まだ何も決まっていない状態であれば、「①企業理念」や「②パーパスの設定」から考える必要があります。この2つは会社全体をまとめる指針です。万が一、自分たちがこれからどんな姿を目指すべきか、世界や業界の中でどんな価値を発揮したいのか、といった目標と企業理念・パーパスがズレているのなら、この機会に見直しを検討してもいいのかもしれません。企業理念はそのままで、存在意義を示すパーパスを改めて定義する方法もあります。

たとえばアウトドアブランドのパタゴニアは、次世代に健全な地球を引き継ぐため2019年に新しいミッション「私たちは故郷である地球を救うためにビジネスを営む。」を掲げています(※2)。時代や目指す姿とフィットしているか、正しく見極める“眼”が求められる部分です。

「①企業理念」「②パーパスの設定」はちゃんと決まっているけれど細かいアクションは決めてなくて……という状態なら、「③事業戦略」「④商品・サービス設計」「⑤マーケティングコミュニケーション」におけるアクションの策定からスタートしましょう。

まずは先ほど紹介した17の目標の中から、事業内容や目指す姿と親和性の高いものを選びます。選ぶ基準は全社として無理をすることなく取り組めて、実現が可能かということ。目標が決まったら、それらに紐づく細かいアクションに落としていきます。

上流のフェーズ(①②)が曖昧だと下流のアクション(③~⑤)も上手くいきませんし、上流でしっかり宣言したものの結局何のアクションもできずに終わってしまっては本末転倒です。しかもどちらのパターンも、炎上につながる可能性があります。自分たちが何をすべき段階なのか正しく把握し、地道にアクションと向き合う(行動する)ことが一番の近道といえます。

また、SDGs達成に向けた推進体制は一つの部署・チームだけで担当するのではなく、企業内で連携(横断)して進めることが大前提。各部署・チームがどういったアクションを実行しようとしているか、齟齬や偏りがないか、足並みを揃えることで目標達成に向けた一体感が生まれます。このとき経営層にもしっかり参加してもらい、中長期的に全社ゴトとして推進するのが理想です。

SDGsマーケティング事例と注意点

SDGs達成に向けた取り組みのなかで、宣伝や広報、マーケティングに携わる皆さんが担うのは「⑤マーケティングコミュニケーション」の部分が多いのではないでしょうか。

近年、テレビCMなどの広告やメディア、インフルエンサー起用など、少しずつ事例が増えています。

📺 テレビCM
野村証券
https://www.nomuraholdings.com/jp/sdgs/

📰 新聞広告
POLA
https://www.pola.co.jp/special/international_womens_day_2021/

ユニクロ
https://twitter.com/adv_asahi/status/1375011822890217475

📱 デジタルプロモーション
H&M「H&M Loop Island」 
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000476.000011958.html

Gap「Spring 2021グローバルキャンペーン『GENERATION GOOD』」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000252.000011503.html

📚 メディア
TBS「地球を笑顔にするWEEK」
http://www.tbs.co.jp/SDGs_week/

各種女性誌(FRaU、Hanako、VOGUE、VERY)
https://note.com/goodtide/n/na837b3b349f0

💛 インフルエンサー
消費者庁「エシカルライフスタイルSDGsアンバサダー」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_education/public_awareness/assets/consumer_education_203_210331_01.pdf

YSL Beauty「イヴ・サンローラン・ボーテ ジャパン アンバサダー」https://www.yslb.jp/campaign/rola/

まだ予算をかけられる状態じゃない、何から伝えたらいいか分からない、そんな時は「企業としてどのような課題を解決しようとしているか(向き合っているか)」というメッセージの発信から始めましょう。その企業が何をしようとしているのか、生活者に知ってもらうキッカケになります。

解決したい課題や目指す社会を明確にした事例として挙げられるのが、シック・ジャパンが2021年3月8日に開始した「#BodyHairPositive」プロジェクトです。

美しさの多様性を尊重し、自身のボディヘアについてポジティブに捉えられる社会を創り出していくことが目的に置かれ、自分らしくあることの重要性が伝えられるプロモーションに共感する声が多くツイートされました。

https://twitter.com/MusicAxolotl/status/1369303044123426828?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1369303044123426828%7Ctwgr%5E%7Ctwcon%5Es1_c10&ref_url=https%3A%2F%2Fnote.tribalmedia.co.jp%2Fn%2Fn18202ca4c0ea

もちろん、言いたいことをただ発信すればOKということではありません。アクションやコミュニケーションを考える際に注意すべき点もいくつかあります。

🍀SDGsを正しく解釈する

  • 誤った解釈でコミュニケーションを設計しない
  • メンバー同士や部署・チーム間で齟齬がないか確認する
  • 全社として一貫したコミュニケーションができているか把握する(企業の発信するメッセージと異なるコミュニケーションをしていたり、一部の部署が他部署と反するアクションをしたりすると、場合によっては批判されてしまうこともあります)

🍀正しい言葉をつかう

ウケの良し悪しで言葉を選ばない(「エシカル」「サステナブル」という言葉には明確な定義がありません。生活者に好まれるからといって、実態の分からない言葉を多用するのはNG! 反対に「オーガニック」は政府の基準を満たしていないと謳うことのできない言葉です)

🍀SDGsウォッシュ・グリーンウォッシュにならないか

取り組んでいる内容を偽らない(環境問題に取り組んでいるように見せる行為を「グリーンウォッシング」と呼びますが、この言葉にも定義がありません。皆さんの取り組みは「SDGsウォッシュ(※3)」「グリーンウォッシュ」になっていませんか?)

※3 「SDGsウォッシュ」は、英語で「ごまかし」「粉飾」を表す“whitewash”と「SDGs」を組み合わせた造語で、ヨーロッパで使われ始めている言葉です。SDGsという言葉の響きによって、実態以上に「社内のため」「社会課題とのかかわり」を連想させるコミュニケーションを意味しています(SDGsコミュニケーションガイド Page12/電通)

社会のために、そして環境のために取り組んでいたはずのアクションが「誰か(何か)を傷つける武器」になってしまうことのないよう、企業の一員としてそしてマーケティングに携わる一人の人間として、真摯に取り組むことが大切です。

広告やPRにおけるSDGsの動き

SDGsマーケティングの基本的な内容について少しでも興味を持った方は、以下についても参考にしてみてください。

SDGsコミュニケーションガイド/電通SDGsプロジェクト
https://www.dentsu.co.jp/csr/team_sdgs/pdf/sdgs_communication_guide.pdf

電通と博報堂による7つの共同宣言/サステナブル・ブランド ジャパン
https://www.sustainablebrands.jp/news/jp/detail/1202101_1501.html

広告電通賞に「SDGs特別賞」枠が創設/電通報
サステナビリティ広告のチェックポイントは、SDGs系のプロモーションを考える上でも役立つ観点を提供しています。
https://dentsu-ho.com/articles/7679

仏デザイナーによる地球にやさしいロゴの作り方/HEAPS MAGAZINE
https://heapsmag.com/ecobranding-ink-reduced-new-design-logo-solution-for-consumer-society

ビューティ誌「アルーア」がサステナビリティに関するの表現を廃止/WWD JAPAN
https://www.wwdjapan.com/articles/1210305

・・・

トライバルのSDGsマーケティングチーム「Good Tide(グッドタイド)」は、17目標に沿った企業理念・パーパスの設定からマーケティングコミュニケーションまで、幅広くご相談を受け付けています。SDGsマーケティングにお悩みの方は、下記のフォームからお問い合わせください。

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