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移動手段からファッションになった自転車の話

今回はヒップなファッション、カルチャー、ライフスタイルWebマガジン「HOUYHNHNM(以下、フイナム)」とコラボレーションして、ファッションに関するクチコミを考察しました。

なお、本記事と連動した記事をフイナムでも公開しておりますので、あわせてご覧ください。

アパレル苦難のなかでも次々と生まれるトレンド

フイナムとのコラボレーションということで、今回取り上げるテーマは「ファッション」です。ファッション業界のある特定の分野にフォーカスしたクチコミについて述べていきたいと思います。

2020年春、新型コロナウイルスにより緊急事態宣言が発令され、生活必需品以外の消費が落ち込みました。なかでもアパレル業界への打撃は甚大で、大手の倒産、ブランドや百貨店の閉鎖に関するニュースが相次ぎました。

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株式会社東京商工リサーチによる「新型コロナでさらに窮地 百貨店アパレル上場12社、半数で赤字(2020年5月22日)」を参照し、ソーシャル文化研究所が作成/百貨店売上高は日本百貨店協会調べ。12社の売上(連結)は年度ベース、百貨店売上は年ベースで作成

いまだ先行きが見えないファッション業界ですが、クチコミ件数で目立ったトレンドを調べると、大型店舗のオープンや人気ブランドとのコラボレーションなどで話題に事欠かない「UNIQLO」や別業種からはアパレルカテゴリーでの「アウトドア」、「ワークマン」の躍進、オンラインでのコミュニケーションが増えたことによる「オンライン映え」も一部で話題になりました。

クチコミから読む自転車のファッション化

大小あらゆるトレンドが興っては消えていくファッション業界ですが、近年特に盛況著しいのが「自転車」のファッション化

フイナムでも自転車をテーマにした記事は注目度が高く、弊社のクチコミ分析ツール「ブームリサーチ」で分析した結果によると、前述の「ワークマン」「オンライン映え」を上回るクチコミ件数が創出されており、勢いのあるファッショントレンドのひとつと言えるでしょう。

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「ファッション」とともにツイートされた「自転車」「アウトドア」「ワークマン」「オンライン映え」の件数を集計(オーガニックツイートのみ ※1)/集計期間:2019年11月1日〜2020年10月31日

自転車は身近で手軽な移動手段として定着していますが、その過去を振り返ると1997年に採択された「京都議定書」により社会的に環境意識が高まり、エコや省エネな暮らしが推奨されて、2000年代前半ころから環境に優しい乗り物として注目されました。

次に自転車が話題になったのが、健康志向の流行です。
通勤通学に自転車を利用する人が増え、サイクリングブームが興り、スポーツタイプのロードバイク、クロスバイクなどがヒットしました。スポーツタイプは通常のシティタイプより高額な車種が多く、近年は販売台数は減少しているものの、下図のとおり生産金額は増加傾向です。

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一般財団法人自転車産業振興協会による「国内自転車生産・輸出入状況(平成31年2月)」の「我が国自転車生産企業の毎年 1~12 月の自転車生産・出荷 及び 12 月末在庫の過去 15 年間の推移」を参照し、ソーシャル文化研究所が作成

また、ウェア・関連グッズなどがテレビや雑誌などで紹介されるようになると、感度の高い人から注目されるようになりました。これまで自転車に興味関心がなかった層も巻き込むことで“自転車のファッション化”は顕著になり、その様子はソーシャルメディアのクチコミ数からも分かります。

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「ファッション」とともにツイートされた「自転車」の件数を集計(オーガニックツイートのみ)/集計期間:2019年9〜11月・2020年9~11月

自転車は、社会の流れによって環境に優しく健康的である点が注目され、さらにサイクリストの感度の高さやこだわりから「オシャレなもの」と認識されるようになりました。

ファッション化の流れはソーシャルメディアの普及が大きく影響し「見せたい」「知らせたい」、「オシャレと思われたい」という承認欲求が後押ししたのかもしれません。

自転車関連のトレンドを深掘る

ここからは、フイナムがピックアップした“自転車のファッション化”を示すキーワードのクチコミ件数とあわせて、その内容を見てみましょう。

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関連トレンド「ロードバイク」「コーデ・オシャレ」「サイクリングコース」「ダウンヒル」のツイート数を集計(オーガニックツイートのみ)/集計期間:2019年11月1日~2020年10月31日

① ロードバイク(ツイート数:50,880件)

健康意識の高まりから需要拡大したスポーツタイプのなかでも人気の高いロードバイク。
機動性能とファッション性を兼ね備えた高級車種も次々と登場し、アパレルブランドとのコラボレーションモデルなどが話題になりました。最近は自身でパーツを選び、自分だけのカスタムした自転車を公開する人も増えています。

Instagramでは「#ロードバイクのある風景」というハッシュタグが30万件、「#ロードバイク女子」では20万件以上の投稿がされており、その人気がうかがえます(ハッシュタグ件数は2020年12月時点)。

また、フイナムでは人気のあるピストバイク(ツイート数:4,900件)にも注目。よりファッション性を高めた自転車で、現在ではロードバイク、クロスバイクと並んで世界中で街乗り用自転車とされているようです。

② コーデ・オシャレ(ツイート数:18,830件)

サイクリストが増加し自転車に対する価値観が変化するとともに、ファッション好きを中心に自転車関連商品がオシャレになっていきました。

テレビや雑誌でも自転車に乗る際のファッションや小物を取り上げるようになったり、自転車専用ウェアブランドができたり、人気ブランドによる自転車用ウェアを手がけたりなど、ファッション業界にも影響を与えています。

トライバルスタッフにも、女性誌「VERY」とコラボレーションした「HYDEE.Ⅱ(ブリヂストン社)」に乗るメンバーがいます。

このコラボレーションがきっかけとなり、子どもを乗せて電動自転車に乗るママたちのファッション欲が促され、コーデも洗練されていきました。仕掛けたメーカーの狙いがターゲットに伝わり、「自転車に乗るときもオシャレでいられる!」という意識・行動変容につながった好例と言えるでしょう。

③ サイクリングコース(ツイート数:65,860件)

サイクリングコースも話題になっています。
たとえば広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶ「瀬戸内しまなみ街道」は、瀬戸内海に浮かぶ7つの島が橋で繋がれ、多島美を楽しみながらサイクリングができ、世界中のサイクリストたちの聖地と言われています。周辺にはオシャレな宿泊施設や商業施設が多く、このスポットをきっかけに自転車に興味を持つ人もいるそうです。

また東京のような都会でも、サイクリストにはお気に入りのサイクリングコースがあり、好きな街へ移動する途中で気になるカフェや雑貨店、スポットに立ち寄るなど、それぞれ自転車のあるライフスタイルを楽しんでいるようです。

最近では、特に目的地は決めず、オシャレな街や海沿いの道などを気分や体調に合わせてゆっくり散歩のようにサイクリングを楽しむ「ポタリング」(ツイート数:34,340件)が人気のようです。

④ ダウンヒル(ツイート数:1,520件)

最後にご紹介する「ダウンヒル」は、凸凹の道を駆け下りるスリルと爽快感が多くの人を魅了する競技です。

エクストリームスポーツとも呼ばれ、世界中で人気がありソーシャルメディア上でも多くシェアされています。専用の車種も増えてきており、安全性とファッション性を兼ね備えたウェアやグッズなどのアイテムが急増しています。

社会と自転車の変化を読むクチコミ

ここまでご紹介したとおり、自転車は時代の変化で価値観を変化し、サイクリストたちの意思や行動によって単なる移動手段からファッションアイテム化まで辿り着きました。それを事実として可視化できているのがクチコミです。ソーシャルメディアの普及とクチコミによって、ファッション文脈の自転車のトレンドはたくさんの人を巻き込みながらライフスタイルのひとつとして定着しています。

現在アパレル業界は苦難の中にいますが、いくつものトレンドが興り、ファッション感度の高い人たちを盛り上げていることが分かりました。私たちは苦難に陥っている業界こそ、生活者の意思や行動が読みとれるクチコミを活用したマーケティング施策が有効だと考えています。

例えば、コロナ禍でも密を防ぐべく、もしくは運動不足の懸念から電車通勤を自転車通勤に切り替える人が急増しているそうです。

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au損害保険株式会社による「~東京都の「自転車通勤」に新型コロナが与えた影響を調査~自転車通勤者のうち、4人に1人が新型コロナ流行後に開始(2020年7月10日)」を参照し、ソーシャル文化研究所が作成

この現象に関するクチコミを分析したり、自転車通勤者たちのインサイトを調査したりすることで、製品やサービスの開発に活かすこともできますし、クチコミを増やすコミュニケーション施策を講じることもできるでしょう。

ソーシャル文化研究所はnoteを通して、クチコミによって生活者の意思や行動を可視化できると伝えてきました。トレンドはクチコミによって可視化され、件数によりその規模を知ることができます。クチコミ分析や関連するマーケティング施策に興味のある方は、ぜひ以下よりお問い合わせください。

※1 オーガニックツイートは、リツイートなどによって拡散されたツイートを除き、一次発信されたツイートのみを指します
※本記事のデータは全て、ソーシャルリスニングツール「ブームリサーチ」を活用して算出しています
HOUYHNHNM(フイナム)
株式会社ライノが運営する、ヒップなファッション、カルチャー、ライフスタイルWebマガジン。ファッション、スポーツ、ライフスタイル、カルチャーなどの情報を発信。月間100近い記事を更新。2015年には“houyhnhnm Unplugged”として雑誌を創刊。2004年開設と、メンズファッション領域においては古くから続いているWebメディアの一つである。
https://www.houyhnhnm.jp/
Twitter @hynm
佐野 高久(さの たかひさ)
ソーシャル文化研究所 所長。広告会社やPR会社でコミュニケーションプランナーとして従事した後、2019年12月にトライバルへ入社。現在プランナーチームのサブリーダーとしてソーシャルメディアを基軸としたプロモーションやファンイベント、PRなどの戦略策定や施策のプランニングを担当。
Twitter @tkhs0510

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トライバルメディアハウスは「ソーシャルエコノミーでワクワクした未来を創る。」をミッションに掲げるマーケティング会社です。マーケターやクリエイターが抱えるマーケティング課題を解決する場として、noteを公開しています。